2023/11/15
熱海へ。わたしにとっていまのところ、熱海の面白さは本の中にある。RAUはアタミアートグラントに展示の形で見えるようにしなくてもよかったのでは、純粋に旅行みたいな感じでいいのではないか、と思いつつそのちょうど真ん中くらいにみんながさまざまな意見を検討してデザインした展示室の設営を行う。ふにむさんから相談され、意見を言ってはみるが、それらほとんど全部検討済みであった。みんなおつかれ。えらいね。チューニングとは具体的な位置のことだ、とめちゃ思った。誰かが合わせたチューニングをそれだと指摘することができる状況のことだ。相談されて、検討済みのことをわたしもそうとは知らず語り、それはチューニングが合っているということなのかもしれない。そのことがなんだか嬉しい。
帰りの電車の中で葬送のフリーレンをみた。同じルートを違うメンバーで二度巡る物語である。目となるフリーレンは1000年以上生きる。他の登場人物は彼女よりも早く死ぬ。全話通しの前半では一度目の冒険の回想と、友人が死んでいくこと、知を集めていくことについて語られる。そこで発明や発見は、ひとりの生を豊かにする目的で作られる。それが多くの人に必要であれば流通する。この物語における魔法とは、そういうものとして描かれる。物語の後半はかつての仲間の弟子や孤児と共に二度目の旅路を一度目のことを思い出し弔いながら経験する。目的地は天国(地の果てに地続きに所在する天竺システム)。他の人よりも長生きすることの孤独さ(他者と生きる時間以外は知が彼女に寄り添っている)を描いてる。西遊記とか指輪物語とか読んだ方がいいな、と思った。土地を移動するその経験を物語ることの面白さをもう少しインストールしていこうと思う。