2024/04/09

 夢に岡田君が出てきた。aokidや村上さんもいたし、ひょろっと背の高い髪の長い知らない女性と、昨日あたり引きこもりから帰還したというまた別の知らない女の人もいた。

そこは引きこもりから帰還した女性の実家らしく、部屋の途中に薄緑色の軽いカーテンが下がっていて、奥へと長い小上がりになった先には出窓がついている。その細長いステージのようなところにみんなで座ったり寝転んだりしてパフォーマンスリレーのようなことをして遊んでいた。夢にしてはやたらと明晰である。

村上さんが精神疾患についてのラップをして、それに参加者がアンサーのようにして聞きながら反省する気持ちになったなどと言っている。

かわるがわる自作の紙芝居を披露する。八切りの画用紙が絵の具を吸い込んで縮こまり固くなっている。私は持ってきたずいぶん昔に描いた紙芝居の読み上げをしてみるがうまくいかずに、即興的になにかいいポイントを作ろうとしてしどろもどろ。そして悩んだために長い時間注目のなかで黙り込み、紙芝居を捨てて自分の隠れた人見知り性について話すことにした。

明るく美しい空間で自己開示の会をしているみたいな夢。有り体に言えば悪夢の類であろうか。

岡田君がカーテンの下でヒューーーと言いながらじたばたして、

「うらぁ、時間はたくさんあるよぉ」

と言った。

ほかのみんなはにっこりしているが、私はムッとしていた。

ここ最近で岡田君が夢に出てくるのは二度目であった。その記憶は夢を跨いで引き続いてるようだったが、起きている間はなぜか忘れていた。

そして私は、みんなは知らないのかもしれないけど、岡田君は――そう言って泣き出した。それで、岡田君は存在が謎だったことがあるよね。存在が謎だった期間があるよね。とそう言ったのだった。

死と言わずに、存在が謎という言い方をしたのは、まず他の人が驚くであろうし、それにそのことが明らかになって電気がパッとつくみたいにこの今の世界のバランスが崩れてしまえば、また岡田君はどこかへ行ってしまうと思ったからだった。

だから、岡田君は存在が謎だったことがあるよね、とそう言った。

こうしてケロっと目の前にいると死とはなんなのかとの怒りに近い気持ちが湧いてもきたが、しかしそうおもいながらも、私は夢より半身ほど覚醒しているように感じていた。いやでもおかしいな、そんなことあるのかな、葬式にも出たし。身体の半分でそう考えていたら目が覚めた。

泣きながら起きたが、それと並行させてこんな不思議な友人の形があるのか、死者と遊ぶには生者と遊ぶのとは違うところが多いのだなとも考えていた。

カフェにあるopen/closeの小さな看板をひっくり返すみたいに世界をパタンと回して始まった朝であった。嵐で外は暗かった。明晰夢下の意識の綱渡りをしたのだな、これでもしずっと起きなかったらそれが死んでるということなんだろうか。それならそれでも、あまり変わりはないなと普通に思った。

岡田君は死者であり、私は生者だが、私たちは友達のやりかたを変えて、友達を続けている。