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ラテンアメリカ、MOTアニュアル感想

驚くべきリアル展とMOTアニュアル2014 ラテンアメリカの強い政治性を直接的な手法で提示している、濃ゆい展覧会でした。中でも クリスティーナ・ルカス「君も歩ける」( 映像作品)は、かつて女性が愛玩動物のような扱われ方をしていたが、女性や男性が今犬たちがよちよち歩くのを笑って可愛いと扱うのは女性は今や昔の男性も同然なのでは、というような説明がついていた。映像の冒頭に女の人の語りが入り、その後に犬の歩くシーンが続くのだが、ハッピーでおちゃらけながらも不穏であり、とってもとっても勉強になった。「リマ現代美術館」という架空の美術館を提示した作品もよかった。ミュージアムショップで扱っているものもリアルでしかもおしゃれで欲しくなった...南米の政治に対して明るくない私でも十分に伝わり楽しめて素晴らしい作品郡だと思った。見応えがすごい。というか、こちらが読み取ろうと深く思考を巡らせることなく作品を見せてくるテクニックの高さに驚いた。勉強になる... 対してMOTアニュアルはすごくドメスティックで詩的な作品が多かった。福田尚代さんはコンセプトとしてではなく文章を扱う、すごくすごく女性的で、手元指先で作業しているのが想像できる、静かで素敵な作品を作る方だなと思った。小さなそれらの作品は心の琴線にそっと触れてくるような作品で、海で貝殻や小石やガラスのかけらを集めて歩くのに似ている。自分の中の大切なことそっと手の中に集めるような...MOTアニュアルの副題は「フラグメント」で、これからつながって行くであろう表現世界のその末端やそれこそ"かけら"的な物を集めている展示だった。ゆったりとした空気が流れていて作品も精度・純度の高いものが多かったが、しかしラテンの熱い展示の隣ではおとなしく物足りなさを感じた。 福田さんは今ミュゼでグループ展「秘密の泉」をやっているので観に行きたい。8/11迄 http://www.yamasa.com/musee/exhibitions/20130518-0811/