手紙1(ある手紙に寄せて)




お元気ですか。こんな場所にですが、いい機会なのでてがみを書きます。
ここ2年くらい、毎日の過ごし方が少し良くなるといいなという具合で
美術の作品を作っています。今の生活のほとんどがそれです。
応援してくれたら嬉しいです。

あなたと離ればなれになってどのくらいでしょうか。わたしはいつからだったか、
不安になると必ずといっていいほどいつもあなたのことを考えます。宗教信者が
神様にそうするようにして、考えます。そしてそうするとなぜかうまくいくような
気がします。だからこんなヘボなわたしが健やかにやれているのは
あなたのおかげだと心から思います。いつもありがとう。

肩車されてみた水色と赤の大きなものが動いていた祭りの風景、
錆びた非常用の螺旋階段、丸い模様のついた急な坂道、みどり色の蛍光灯が光る
病院の売店、細くて暗い急な木の階段、
オレンジ色で柔らかくて少しベトベトした食堂の床、銀色のナフキントレー、
子供用のイスと絵本が置いてある青いカーテンの部屋であなたへの手紙を書いたときに
想像した長い階段に扉が付いている風景(その時に書いた手紙は絵ばかりでしたね)、
クッキーの空き瓶をポストにしたちいさな手紙だけは鳥に荒らされなかったねと褒められたこと。

ごく断片的にですが、いろんなことを思い出せて嬉しいです。長くなってしまうので、この辺でやめにします。またね。

彩佳より
−−ある手紙に寄せて。