2023/04/26

 手に取った詩集を開いたら、よくわからない寂しさがツヤっとして、それが嬉しかった。わたしだけがわかる部分がツヤツヤと光っている。そこに心があるんだと思う。魂かもしれないけど。作品を一人で見ることを忘れていたんだとおもう。なんか言わないととか、なんか無視しちゃいけないとか、したくもない約束をしているみたいに、あれこれ考えることはわたしに何の関係もない。
関係して作る楽しいことでお留守になった夕方、出窓に日差しを受けている小さな葉っぱがある。そういうのを思い出したり。誰もいないということが思い出される。目の前にないもの。そこで誰かを思い出したり。自分がわかることだけを詩が撫でて、撫でられた部分が残っていく。わからないことはもう過ぎてしまって振り返りもしないけど、それでもそれは誰かにはわかることなんだと示されている。わたしのことではないけど。そういうふうに無視ができる。まっくろな気持ちになったことを思い出す。その気持ちがなんでかすごく愛しく思える。本当に何もないのに、心だけでなんだかたまらなくなる。わたしだって、ツヤツヤの悪になって、密かに小さな石をひとの鞄にいれてずっとその石のことを考えるんだということを考えている。明日この気持ちのまま電車に乗るつもり。