2021/09/01

 歯磨きに慣れない。子供の頃から毎日口の中をブラシで自分で擦っているのに、なんでこんなに口の中のことを知らないのか。歯医者のほうが知っている部分がある。歯医者の言葉を頼り口の中のできごとを把握する。痛さから何が起きているかを感じとる(何かやばいことが起きている)。電車の中で何が起きているかを周りの反応から想像するのと同じようなものだ。自分がこんなにずっと付き合ってきたこの身体のことを知らなさすぎる。「自分の口」というのも違うような気すらする。治療中の歯の詰め物が取れたりすこし欠けたり、抜歯した部分の傷が塞がりつつあって痒かったりして、もしかしたら字義通りに「毎日違う」身体に付き合っているんじゃないか。早く歯医者に行きたい。

生理も来た。「来る」という言い方が共通認識としてあるこの現象。婦人科の問診では「生理がある」と書かれるけれど、会話や口語においては大体「生理が来る」とか「生理になった」とか言う。「(わたしが)生理になった」「(わたしのところへ)生理が来た」これらの生理と一人称の呼び付け方から、この現象の他者具合を生理のない人はなにか想像することができるかもしれない。生理が来て、生理になる。私でない身体を定期的に引き受けている。