2023/07/27



 90歳の人が10歳の頃に戦争が終わり、110歳の人が30歳の頃に戦争が終わり、当時30歳だった人はどちらにせよ今生きている人は多くはないと思うけども。6年間と80年の間にかかった個人へのストレスの総量、社会的なトラウマ、歪み、申し訳なさ、悲しみ、すべて想像もつかない。今まさに起きる他の恐ろしいことで、そういうものが絶えず増えていっている。取り付く島のないそれらを放り出さずに想像するということが、現代を生きるアーティストの唯一の勤めなのだとしてみるのはどうか。その場では癒されない高度な操作を行うこと(もっとまともな言葉を見つけたい)を鑑賞とする。それをつくることが制作、とか。知らない人が知らないうちに死んだり生まれたりすることを、どうにかして考えるみたいな。蓄光塗料の黄緑色。


PARAの滞在に来ている野木さんと知り合った。練習場所がオープンなスペースなので、練習とはいえ発表というか居合わせる人とのインプロである。わたしが楽譜になり、それを野木さんが演奏している時間があった。read the room。マリンバは折りたたみ、タクシーで運べるほどに小さくできるそう。マレットは棒の先に糸が巻かれていて、その巻きが多い大きなマレットは低音のキーと合う。両方の手に2本ずつ持って鍵をたたく。気持ちいい。マリンバは広いので、教えてもらったことを右側で試していると左側でそれに応答した演奏がされたりする。すごくすてきな日になったと思った。