《アンアトラクティブ・ダイアリー/ワンデーコンタクト》手順の覚書、サマリーのようなもの
「魅力がない」ということについて、考えて新しく発見するためのワークショップを行いました。
元々は魅力のない日記の制作を目標としてアンアトラクティブな1日をデザインするつもりでいましたが、「魅力がない」ということが何を指すのか、世界のどこにも共通認識がないのでそれを制作するワークショップに切り替えることにしました。
※展覧会終了後、このワークショップの作品タイトルは変更になると思います。
※「ワンデーコンタクト」は、一日間だけよく見えるようになる使い捨てのコンタクトレンズのように、一時的に何かがよく見えるようになりそうなワークショップにつけるシリーズタイトルです。
※どんな風景だったかはInstagramの投稿を参考にしてください。
ワークショップ覚書
1)「魅力がない」ということに視点を向けることについての簡単な導入を行う
魅力とは、他者の目が意識された換金価値観における「良さ」の基準を今回は指します。例えば「いいね」をあつめることができそうな価値観は、今回は避けるべき対象として設定します。
非積極的な考え方を、非という言葉を使わずに説明できるようになりたいと考えているここ最近です。というのは、大学で働いている時に学生から相談された、ネガティブやパッシブな感性にただただ励ましたり受け止めることしかできず、これはこちらの知識がないからだなと思ったことがありました。他者が持ち込むよくわからないことを、私の方でも無視せず考えてみたいと思ったのは、この一見ネガティブでナイーヴな感性は、裏拍的でラディカルな心の働きである気がして、問いの根源になると思ったからです。
2)なんらかの方法で個人が考える時間を取る
13:00回
個人で展示室をうろうろする、寝っ転がる、座ることをしながら「魅力のなさ」を考える
19:00回
展示室の外に出て「魅力のない」風景を撮影しに散歩しに行く。
大富豪の「6」のような存在の風景。
3)個人の考えを場に出す
13:00回考えたことを話す
19:00回
スマートフォンを並べて写真を見比べる。
15枚のうち「最も魅力のない写真」を1つ選んでその前に立つ。
4)問いの条件を抽出する
13:00回
質問しあって、話をしてゆく。恋した時、「大富豪(ゲームの)」だったら、趣味が山のような形ならなど、形や状況を比喩として、「魅力」というものとの付き合い方のバリエーションを話し合った。
19:00回
「最も魅力のない写真」2つの写真に2票入る。最も魅力のない写真の決め方を話す。二者択一でもいいし、議論でもいいし、プレゼンでもいいけれど、なんか別の決め方もないだろうかと言って、みんなで話した。決めることが目的なのではなく話すことが目的。
質問して、返事を返さずに考え込んでいると、どうやって決めるかをみんながアイデアを出したり、勝手にプレゼンが始まったりした。早く決めて、次のステップに行きたそうだったが、場がうんざりしはじめてもしばらくその合図を出さないでいてみた。
5)大体考えが出揃い、こう着状態になったら一回休憩する
13:00回
外に行こうか、ということになり、「魅力のない風景」を写真に撮りに行く。
気持ちのいい初夏の日差し。
19:00回
うら→トランプ作る。印刷したりカットしたり。
参加者→好きにしててよい。
6)抽出され、仮結晶化したローカルな概念をすり合わせ確認する作業をする
13:00回
魅力のない風景の写真を見せ合った。魅力がある写真も撮れた。
いつもとは異なる基準を用いて撮影するので、変な写真が撮れる。
19:00回
大富豪ならぬ「大凡民(仮)」を遊ぶ。役なし、数字順3,4,5…13,1,2,Jの順に強い。「魅力のない数字」である6も、ただのナンバーとしたが、なんとなく誕生日の日に感じるような特別な意識が向けられる。
特別なローカルルールとして場にあるカードよりも「魅力がない写真」は数字に関わらず重ねてよいということにした(これを適用する時には「魅力使わせていただきます」という声かけをして場に出した)。
それぞれの心による厳しい「魅力」判断のもと、1回のみゲームは行われた。