2021/06/26

 晴れ ちょっと湿度ある 夏に近い雰囲気だが夏ではない。夜になったので日記を書き始めようと思う。Kの鼻から息がはかれる音がする。

 種類としてオオカミにとても近い「バセンジー」という犬がいるらしい。人間と群れて暮らすような伴侶種の犬は吠えるが、それは仲間が近くにいるから安心して吠えるのであって、独立した犬は吠えてしまうと自分の居場所がばれるので吠えないそうだ。オオカミではないけど魂がオオカミというか。そんな話をしながら「何歳の気分?」と聞かれる。5歳と思いつつ、15歳くらいですかねと答える。15歳って5歳になりたいみたいなところない?と言われて、正直5歳ですねと白状する。「じゃあ5歳のオオカミっていうかバセンジーはどう?」と問われる。よい。「それがいいです」。

 Sさんは子どもの頃、「自作の日記を書いていた」と言う。どうも倒錯しているけれどすごくおもしろいアイデアだ。「自作の日記」。日記のていをとった小説、とは言わずにあくまで日記なのがいい。人称のはなし。ひざがビリビリのジーンズに子どもが「痛い痛い?」と保冷剤をそっとあてにくる。ジーンズの痛み。転んだ可能性への言及。ビリビリだ!と言う発見から主語を飛び越えて、いや、多くの主語を包括的に扱いながら痛みと言う現象につなげる。気持ちのいいもの。そういうふうに交感するという話。ジェンダーもそう考えたい。髪を切ってもらいながら、Sさんと話したこと。新しい髪型がわたしにものすごく似合っていて、この姿はうらあやかというよりも浦彩佳もいうよりもささやしせずの姿だと感じる。嬉しくなって、ビリビリのジーンズを買った。ビリビリのジーンズを着るたび多くの主語を、わたしのさまざまな細かな人格が表現されるこの身体をしたままに現象のように存在するヒントを得ることができるような気がする。わたしは現象になりたいのだ。