2021/06/28

 晴れ 小雨 涼しい

 ラボで田中功起さんのレクチャーと勉強会。わたしが学生の頃にヴェネツィアビエンナーレということもあって、田中さんにすごく影響を受けているアーティストのひとりだと思う。田中さんがもうほんとうに過不足なく、完璧に表現した領域があり(それってほんとうにすごいことだよ)、また伝達技術の発明もしていると感じる。今日のレクチャーでアーティストキャリアのピークを超えている自分がそこからどう変われるかが重要というような話をしていたのだけど、他のアーティストたち(というか自分)も田中さんの発明以降同時代に作品をつくるとき、どう引っ張りあえるか、あるいはいかに更新するかをもっと真面目にやらないとよな。うん、田中さんの作品と同時代で引き合うというのはひとつの重要な視点かもしれない。橋本聡さんや眞島竜男さんも。すごいアーティストたちと母国語が同じなのは本当に嬉しいことだなと感じる。たまに、「が」がくるたびに「がぁ↑」と上げ伸ばして、というかむしろ中継地点に必ず「が」を入れて言葉をくぎりながら主語と述語みたいな関係をとにかく複雑化させて喋るみたいな、でも整理しながら。ま、とにかくそういう人がいて、日本語に長けてるなっていうか話すことに慣れ親しんでるなといつも感心する。前にコーパス(おしゃべりの音データ)を集めて分析する研究者のお手伝いのバイトをしたことがあり、そこへ集まってくるデータは知らないひとが撮っている意識みたいなのがかなり薄い状態で親しい話し方をするからそれがおもしろくまたなぜか切ない。知らないひとが生きている記録が(戦争とか震災とかともすごく離れた内容で、ただそんな日があったというだけの記録が)ここにあるということにたまにすごくあてられてしまって、バイト中にトイレへ行って泣いたりしていた。